こうじときのこが手をつなぐ!?「きのこ展2013」-筑波実験植物園- 筑波実験植物園TOPへ きのこ展2013トップページへ

2013/10/17(木)

きのこワークショップ開催

みなさんこんにちは。きのこ担当の保坂です。

きのこ展も間近にせまる10月の上旬。国立科学博物館植物研究部で、アジア各国のきのこ研究者を招待して、きのこワークショップが開催されました。講師は僕と琉球大学の寺嶋芳江先生です。

何のためのワークショップかと言うと、きのこの分類などをDNAを使って研究するための手法を学ぶワークショップです。僕自身は毎日のようにきのこのDNAおよびそのデータを扱っていますが、アジア全体を見渡すと実験設備が不十分だったり、資金面で難しかったりと、現在のきのこ研究はDNA無しには考えられなくなっていると言っても過言ではないのに、DNAを取り扱ったことも無い研究者もたくさんいるのが実情です。

そこで、今回のワークショップでは、アジア各国からのDNA実験に不慣れな研究者たちに、実際のDNA実験の手法を体験してもらうとともに、今後きのこ標本およびDNAを使った研究を発展させ、共同研究体制を築くことを目標として企画しました。

自分自身がお世話になっている国々の研究者を中心に、今回招待したのは12名。この全員が参加に意欲を示してくれました。ただし所属研究機関の都合などで残念ながら3名が欠席。最終的には9名の研究者が参加することになりました。

アジア各国のきのこ研究者と

参加者は台湾、フィリピン、ベトナム、インドネシア、ブータンの計5か国からやってきました。それぞれ言葉も文化も異なる国々です。ただ、DNAを使ったきのこ研究を発展させたい、という目標はいっしょ。参加者同士、初対面だったメンバーも大勢いましたが、会ってすぐに打ち解けて、活気あふれるワークショップになりました。

5泊6日の日程でしたが、途中には野外採集とその標本およびDNA処理を行い、自分たちの手で、自ら採集した標本からDNAサンプルを採取する一連の手法を体験してもらいました。

最終日には全てのプログラムを終えたうえで、修了証書の授与。
最初はインフォーマルに、全員に証書を配布して終わろうと思っていたのですが、参加者から「どうせなら一人ずつ、前に呼ばれて授与してほしい」とのリクエストがあったため、まるで卒業証書の授与式のように、でも楽しい雰囲気で幕を閉じました。

今回のワークショップがきっかけとなり、今後参加者のそれぞれの国と共同研究を活発に行うことができるはずです。アジア各国をとりまくきのこ研究のネットワークから目が離せません。