2013/8/13(火)
南の島のきのこ調査みなさん、猛暑の中(極暑、という言葉もあるそうですが)いかがお過ごしでしょうか?
きのこ担当の保坂です。今回は先週まで10日間かけて行った、南の島でのきのこ調査についてお伝えします。
今回の調査は、奄美大島~種子島~屋久島~鹿児島という地域を1回の旅行でカバーするという、かなりハードなスケジュールでした。しかも、鹿児島→種子島→屋久島→鹿児島の区間は全てフェリーでの移動。真夏の調査としてはかなり過酷なものでした。
まず訪れた奄美大島では、連日良い天気。それもそのはず。現地では1か月以上雨が降っていないということです。
青い海と白い砂のビーチはとてもきれいですが、きのこ採集には全く適していない条件でした。
乾燥しきった森の中をハブに怯えながら歩く、という感じの調査でした。
そんな中でもフサヒメホウキタケの仲間や、大きなマスタケを採集することができました。
そして飛行機で鹿児島に向かいます。
飛行機からはこれから訪れる屋久島(手前)と種子島(奥)を望むことができました。
鹿児島からは車ごとフェリーで移動です。噴煙をあげる桜島を眺めながら種子島に向かいます。
実は種子島での調査はもう1日長くやる予定でした。ところがスケジュールを調整する段階になって、なんとも意外なことが明らかになったのです。
何かというと、種子島からH-IIBロケットが打ち上げられる日と、ちょうどかぶってしまったのです。おかげで前日のフェリーや宿は全く予約できず、1日遅れの出発となったのでした。でも、調査の途中でロケットの発射場を見学するなど、きのこ以外にも収穫の多い島でした。
そして最後の調査地となったのが屋久島です。種子島からのフェリーは何と朝の5時発!というわけで夜中の3時半に起きて、きのこ標本の片付けと荷造りをして、フェリー乗り場へ急ぎます。
そして屋久島初日。これまで全く雨に恵まれなかったのとは一転、最初から大雨になってしまいました。車の中で雨がやむのを待ちますが、全然おさまりません。仕方がないので少しずつ移動しながら、ずぶぬれになりながらの調査となりました。
今回の一連の調査では、きのこを採集することはもちろん、森林の土を採集することが大きな目的でした。土の中には当然、きのこの胞子や菌糸が大量に存在します。つまり、きのこが採れなくても土を採集することで、その森林に存在するきのこの多様性を解明することができる可能性があるのです。
その目的からすると、種子島までの乾燥した天候はかえって好ましいものでした。乾燥した土は採集しやすいし、そのあとの処理も簡単です。一方、大雨でびしょ濡れになった屋久島の土は、まず乾燥させるのが難しいし、濡れたまま放っておくと土の中がカビやバクテリアだらけになってしまう...やはり雨が降らなさすぎでも、降りすぎでも困る、というきのこ調査のデリケートな側面にまたも悩まされた調査でした。
というわけで大雨の屋久島でしたが、道すがら毛づくろいをするサルがいたり、その名も「紀元杉」という巨大なスギがあったり、と非常に魅力的な島でした。
今回の調査の結果、南の島のきのこの多様性に関する大量のデータが生み出されてくるはずです。それでもきのこの膨大な多様性に比べればほんの一部。世界中のきのこ多様性を明らかにするために、今後も地道な調査を続けていくつもりです。