2013/9/27(金)
富士山のきのこ調査こんにちは。きのこ担当の保坂です。
今回は9月下旬の富士山におけるきのこ調査の顛末です。
富士山は世界文化遺産登録がされ、観光客がますます増えています。とは言っても、僕にとっては世界遺産であろうとなかろうと、昔から重要な調査地の一つです。標高が高い地域では真夏からきのこがたくさん発生するのですが、今年は夏の混雑は避け、少し秋の気配が見え始めた時期に調査を行いました。
やや乾燥している感じだったので、最初は心配していましたが、森に入ってみるときのこだらけ!むしろきのこが採れ過ぎて、その後の作業が心配になるほど。森には色鮮やかなタマゴタケやホウキタケの仲間など、ほんの1時間ほど歩くだけで、カゴ一杯のきのこを採集することができたのです。
宿に帰ってからが大変です。森にいたのはせいぜい数時間ほどですが、そこで採れた大量のきのこ達を全て標本として保管するために処理しなくてはなりません。新鮮な状態の写真撮影から始まり、DNA用のサンプル採取、乾燥機への設置、など全ての作業が終わったときは夜の10時を過ぎていました。自然の中でのきのこ調査、と聞くととても楽しそうですが、実は室内での地道な作業にかなり時間を費やしているのです。
さて、今回の調査とは関係ないのですが、家に帰ると意外なことが待っていました。今年の6月に行った小笠原諸島でのきのこ調査の最中に、携帯電話を紛失してしまっていたのですが、どうせ出てくるわけはない、とすっかり忘れていたのです。それが3か月後の今になって発見されて警察署に届けられたのです。しかも小笠原の海の底から!どうやら発見者はダイビングの最中に海の底に沈む携帯電話を見つけた、ということのようです。
3か月近く海に沈んでいた携帯電話は、防水仕様にも関わらず塩水が浸み込み、見るも無残なサビだらけになって発見されました。当然もう電源も付きません。せっかく発見された電話ですが、残念ながらこのまま廃棄処分となりそうです。
野外調査をしょっちゅう行っていると、いろいろなものを森の中に忘れてきます。根堀り、ナイフ、ペンなどはもう何回落としたかわかりません。高いカメラをなくしかけたこともあるし、採ったはずのきのこをどこかに置き忘れてきたこともあります。
一番驚いたのは、2004年にニューカレドニアにきのこ調査に行ったときに、森の中にルーペを忘れてきたのですが、2009年に再度調査を行った際に、まさに同じ場所で再発見したことです。おそらくその間、人間の目には全く触れることなく、静かな時を過ごしてきたことでしょう。
きのこ展もいよいよ本番が近付いてきました。
次回は、きのこ展準備の様子を少しお伝えします。