2013/9/13(金)
ブータンのきのこ調査こんにちは。きのこ担当の保坂です。
今回は9月10日まで約2週間かけて行った、ブータンでのきのこ調査について報告します。
ブータンは「幸せの国」としても知られていますが、実はきのこもたくさん生えます。
特に有名なのがマツタケで、山中のマーケットでもマツタケが大量に売られています。この多くが日本に輸出されているとのこと。
調査期間の一部では山奥の村に行き、民家に滞在しながら進めました。滞在した村は山に囲まれ、まさに想像していた通りの風景でした(左)。泊まった家もブータン様式のおしゃれな造りで(右)、とても快適に過ごせました。
家の中では床に座って食事をします(左)。出てくる食事はどれもが典型的なブータン料理(右上)。赤米を主食として、スジャと呼ばれるバター茶がついてきます。でも、なにより特徴的なのがトウガラシの量。ブータンではトウガラシとチーズの煮込み(右下)を毎日のように食べます。彼らに言わせるとトウガラシはスパイスではなくて野菜、とのこと。
最初は辛さにやられそうになりながら、それでも慣れてくると美味しくてやめられなくなってきます。そうなると森の中でも本領発揮。次々ときのこが見えてきます。
ヘラタケの仲間(上左)や色とりどりのホウキタケの仲間(上右)、それからこれはブータンでは初記録となる、大きさ数ミリほどのタマハジキタケ(下)など、合わせて250点ほどの標本を採集することができました。
そして終盤にハイライトが待っていました。今回のアレンジをしてくれた、ブータン国立きのこ研究所の所長が、日本でいえば農水省の本部で、研究発表をする機会を与えてくれたのです。なにしろ大臣以下かなりの人数が来る予定だとか。
でもフィールドワークの最中なので、小ぎれいな服など持っていません。冗談めかして「ネクタイなど持っていませんが…」と相談してみたところ、意外にも「問題ないよ。ネクタイくらい貸すよ」とのこと。もちろんこちらはワイシャツも持っていません。どうやらキッチリとした服装をするのはブータンでは当然のことのようです。
そこで少し考えました。ちょっとしたお土産に、と考えていた民族衣装の「ゴ」を着て発表しようかな、と思いついたのです。ちょっと浴衣に似ている衣装に黒の革靴、そして黒のハイソックス、というのが正式な衣装です。
僕の顔を知らない人たちからは、ブータン人と間違われながら、それでも有意義な発表となりました。ブータンの人たちにとって、菌類の多様性は重大な関心ごとのようです。
今回の調査では標本だけでなく、その他いろいろなきのこ関係のものも手に入れました。
きのこ展でもお披露目できるかもしれません。
いよいよ9月に入りました。きのこ展本番まで1か月ちょっとです。準備も着々と進んでいます。きのこ画コンテスト、通称「きのコン」の作品も今月末まで募集中ですので、ぜひご参加ください。詳細はホームページにて!