2015/7/23(木)
水草と保全
こんにちは。
水草展のお手伝いをしている堀内です。
最近は毎日がとっても暑く、夏本番!といった感じですね。
そんな暑さの中ですが、植物園の圃場では水草展で展示する水草の栽培増殖が着実に進んでいます。
圃場では日差しがとても強いため、水草を栽培している飼育水はびっくりするほど熱くなっていてもはやお風呂みたいです。
でも、水草たちは全然問題なさそう?で、すくすくと育っています。
なかなかタフで驚きです。
圃場ではこうした展示用の水草も含めたくさんの水草が栽培されていますが、 同じ区画で栽培されているコシガヤホシクサについて今回紹介したいと思います。
"コシガヤホシクサ”ってご存知ですか?
コシガヤホシクサはホシクサ科の植物(干し草ではありませんよ!星草です!)であり、 今や野生下では見ることができず、野生絶滅種に指定されている貴重な種です。
現在、最後の自生地だった砂沼(茨城県下妻市)にて野生復帰プロジェクトが進んでいて、 わたしは去年から植物園と共同でこの植物について研究をしています。
コシガヤホシクサの面白いところは水中で水草の様に生きるかと思えば、湿地上でも生きることができます。
水草の多くは水中葉・水上葉のように葉の形を変えますが、水上だけでの維持は長期間はできないといわれています。
一方、コシガヤホシクサは葉の形はほとんど変わらずに水中と湿地のどちらの生き方もできるのです。 水草としても普通の植物としてもちょっと変わった植物です。
そんなコシガヤホシクサですが、最近はインターネットで"ホシクサ”と検索すると関連キーワードで"コシガヤホシクサ”と 出てくるなど、ちょっとずつ知名度が上がってきているのかな?と思っています。
この植物を研究する者として少しでも多くの方にこの種の存在と保全の重要性を知っていただけたらと思っています。
それと同時に水草の多くには絶滅危惧種に指定されている種が多いということにも注目してほしいです。 それは昔からあった水辺の環境がちょっとづつ変化して、水草の生きにくい環境になっていることを意味しています。
水草展では水中で生きる水草の美しい生き様をみることができると思います。 その一方で多くの種が危ない状況にいるんだということを頭の隅に置きながら展示を見てもらえたらと考えています。