水草展2015ブログ

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2015/6/25(木)

大獅子とササバモ ~モクとり~

こんにちは!グリルの永田です。
植物園では初ヒグラシの鳴き声を聞きました。夏がくるぞ~って感じですよね。

そして、夏といえば、皆さんが楽しみにしてくださっている水草展。ついに開催まで50日を切りました! 現在、スタッフはノリにノッていてばりばり準備が進んでいます。

さて、前回髪の毛がササバモでできた大獅子の取材記事「大獅子とササバモ」をご紹介しました。今回はそのPart2。

ついに小田大獅子保存会の皆さんとササバモ収穫のイベントを取材してきました。ササバモは小田祇園祭のために毎回新しく収穫する事になっています。ふと、なぜ「ササバモ」じゃないとだめなのかと思いましたが、その理由は不明だそうです。

さあさあ我々は無事ササバモを収穫できたのでしょうか?!

◯ お誘い ◯
会長の矢口さんから6月14日にササバモ収穫、通称「モクとり」に行きませんかと連絡があり、是非ご一緒させてくださいとお願いしました。いつもは6月下旬に行いますが、この日に早めたそうです。

理由は、例年その時期は川の水位が高く、人の手で収穫するのでかなり大変だったとのこと。 なので比較的水位が低いこの時期に収穫する計画になりました。

◯ 移動中の雨 ◯
午前8:30集合し、すぐ皆さん車に乗り込み、栃木県に移動します。残念ながら、つくば市付近にはササバモがたくさん取れる場所があまりないためです。取り過ぎを防ぐために、毎年取る場所も変える工夫もしています。

矢口さんは水位が高すぎないか、4時起きで下見にいってくれていました。。。凄いです!みなさんからもひしひしと高揚感が伝わってきます。

私も水草に会いに行くのはいつもわくわくします。なんでだろう?水草ですから水の中に入り近くまでいかないと、まともに観察することができません。陸上植物のように歩いているだけでは出会うことのできないレアな植物だからだと思うのです。流れに自由に身を委ねる水草は、ゆらゆらと動いていてずっと見ていたくなります。

そんな考えをめぐらせ車を走らせていると、いきなり大雨が降ってきました!雷も聞こえます。大粒の雨は地面に打ち付け水しぶきへと変わり、あたりは急に真っ白に。ワイパーは最高速で視界を守ってくれましたが、モクとりはできるのか?という不安までは拭えませんでした。

◯ 川に到着 ◯
雨は奇跡的に止みました。皆さんの熱気、大獅子のパワーが雨雲を退けた!と思っています。。この橋の上からでもササバモが見えました、あってよかった。水草の調査でも、去年はいたのに今年は全然いないということは結構あったりします。寂しいですね。

幸いなことに水位もふくらはぎくらいまで。とても収穫しやすい条件でした。この時期、曇りなのも涼しくて助かります。しかも晴れてると太陽光が水面を反射して顔に当たって凄く焼けます!

アオダイショウさんもいました。この子も雨をやませてくれたのかも。。。ありがとう。

◯ モクとり ◯
さあ!いよいよ川に入ります。皆さん濡れてもいい装備です。ガラスの破片などがある可能性もあるので靴は必須です。 暑いのですが水は冷たいので、最初気持ち良くても長く入っていると体温も流されているかのように感じます。

念願の大獅子用ササバモ発見!水中写真です。藻類などがついていなくてとても綺麗です。しかし時期が早いためか短いです。

ササバモ以外に他の水草がいないかも調査しました。 左からホザキノフサモ、コウガイモ、オオカナダモ、ササバモ、ヤナギモがいました。 特にオオカナダモが生えている場所が多いので、除去してササバモが来年増える事を期待します。

私もモクとりのお手伝いを始めます。水中のササバモを掴んで、鎌で切り取ります。

じゃーん!とれました!謎の笑み満開です。

このように取れます。あらかじめ手首に巻いてある輪ゴムをこのままずらして束ねます。

束ねたササバモを「流します!」宣言をして流すと、下流にある橋の下で待ち受けている人が受け取ります。(写真の黒い服の方) それを橋の上から垂れ下がっているかごに入れます。 ササバモは浮くのでこの方法はらくらくですね。

流れるササバモの束と、水中での刈り取り映像です。



次に橋の上にいる人がかごを持ち上げて、欄干にササバモを次々に干します。 少しでも早く乾燥させたいのと(ゆっくり乾燥させると綺麗な緑色が出ない)、 収穫量やササバモの長さの確認、それと水を切って軽くするためとのこと。

こうやって並べると圧巻ですね。それでもまだまだササバモは生えていました。

溜まってきたらトラックに積み込みます。

ワンちゃんも見学に。手の匂いを嗅がれた後、何故か吠えられましたが。。。そんなに臭い??

◯ 水位上昇 ◯
モクとりしていると徐々に水流が早くなり、水の透明度も下がっている気がしました。 水位も最初より上がったような気がします。 皆さんも気づいていたようで、「さっきの大雨で増水するかもしれない」という危険があるため、中止することになりました。 川では鉄砲水の可能性もあるので早々に中止です。

◯ 移動とお昼 ◯
採集中止と昼食が調度良いタイミングでしたので昼食後、別の川に行くことになりました。 おっとラッキー☆そこにはササバモの陸生形が!

ぐ~ん。近づいて見てみましょう。もっさり。 川などの水位変化が多い環境では、このようにササバモは陸生形になる事があります。 全ての水草が陸生形を作るわけではありませんが、他にもヒルムシロも作ることがあります。 今年の水草展では陸生形を作る水草の展示もあります。形を見比べるの面白いです。

上が陸生葉、下が水中葉です。陸生葉は、茎も水中葉と比べて短く、緑が鮮やかですね。水中葉は半透明にも見えます。

◯ モクとり終了 ◯
最初に大雨が降ったりで心配でしたが、こちらの川で十分な量のササバモが収穫できました。 写真ではわかりづらいかもですが、結構あります。

皆様お疲れ様でした!
恒例の集合写真。私も含めると14人もいます。これからつくばに帰ります。

◯ モク干し ◯
つくばに帰ってきました!しかしまだまだすることはあります。早速ササバモを干して十分乾燥させます。とにかく早く乾燥させるのが綺麗な緑色を出すコツです。お寺の縁側に手際よく広げていきます。なるべく重ならないようにします。

ほいやほいや

このとき、ササバモでない水草が混じっていたら取り除きます

最後に飛ばないように竹を乗せます。

この薬師堂を一周する量の純度100%ササバモを収穫しました。 これが大獅子の髪の毛に、なる! とても楽しみです。

◯ おわりに ◯
いかがでしたでしょうか? 大獅子の髪の毛を担うササバモ。 その一つの部位を完成させるだけでも結構な人数と準備が必要な事がわかって驚きました。

この大獅子とササバモシリーズは最終目標である小田祇園祭までなんとか取材を続け、皆様にお伝えできればと思っています。 祇園祭まで行けば冒頭の疑問、ササバモでないとだめな理由もわかるかも。。と期待を抱いています。

さて、大獅子の体は竹でできていて、それも毎年新しく収穫するという事も聞きました。 しかも15メートルにもなるとのことです。それも保存会の皆さんによる手作りだそうです。 ですのでモクとりの次は、竹とりを取材しに行きます!