2015/4/23(木)
バリ島の海草
はじめまして。水草展のお手伝いをさせてもらっている筑波大の安田です。
今年の水草展のテーマをご存知でしょうか?
今年のテーマはズバリ、「海に生きる水草」です。
「海に生きる水草」と言われて、みなさんはどのようなものを思い浮かべますでしょうか。海にはいろいろなタイプの海草たちが生育しています。それは、温帯沿岸の砂泥に生育するもの、熱帯のラグーンの砂地に生育するものなど様々です。
今回は、僕がこの3月にインドネシアのバリ島で偶然見つけた海草について少しお話したいと思います。
その海草は、バリ島南部に位置するヌサドゥア周辺の沿岸でシュノーケリングをしているときに発見しました。
その日はなんとなく体調が優れなかったのですが、見つけた瞬間にそんなものは吹き飛んでしまうくらい興奮してしまいました。 魚には一切目もくれずこの海草ばかりを目で追い見惚れてしまっていたために、その後の友達内でのお魚談義に全くついていけませんでした…苦笑
上の写真は、実際に現地で撮影したものです。水深は2~3m程度といったところでしょうか。姿形はどことなくリュウキュウアマモに似ているような気がします…。
しかし、リュウキュウアマモは砂地に生育しますが、この海草はなんと岩礫に活着 (※植物が根づいて生長すること)しているのです!いくつか手にとって確認してみましたが、私自身これまで見たことがないもので見当もつきません。
後日、田中先生に写真をお見せしたところ、これはThalassodendron ciliatumであることが判明しました!
調べてみると、Thalassodendron ciliatumはベニアマモ科の海草で、インド洋と太平洋に分布しているとのこと。田中先生いわく、岩礁の上に生えるということが大きな特徴で、熱帯性の海草としてはとても珍しい性質だそうです。
日本から遠く離れたインドネシアの海で海草を見ることができて、僕はとても感動しました。海に生きる水草も、馴染みのある淡水性の水草と同様に、生育する環境や場所でその姿形は異なるのですね。
当然といえば当然なのかもしれませんが、面白く興味深いことだなと実感しました。