水草展2024~水草がつなげる世界~国立科学博物館 筑波実験植物園

2024年8/8日(木)~8/18日(日) ※期間中休園なし

※諸事情により、イベント内容が変更または中止になる場合がございます。最新情報はホームページでご確認ください

2024/7/26(金)

水草展をもっと楽しむための書籍紹介

はじめまして。水草展に関わらせていただいている國分です。
水草展への参加は2回目で、おもに水草の用意や増殖を手伝っております。

さて、あれよあれよという間に水草展が近づいてきました。
今回の水草展は「水草がつなげる世界」というタイトルで、水辺に見られ水草を利用する、さまざまな動植物を展示することになります。
しかしながら勿論、普段バックヤードで栽培されており見ることのできない、さまざまな珍しい水草もたくさん展示します。中にはインターネットにほとんど写真や情報がないようなものもあり、実際に目にしてよく知りたいと思ってググっても困惑するものがあるかもしれません。

今回は水草展をもっと楽しむために、ぜひ持っておきたい書籍を紹介しようと思います。すべてポケットサイズですので、ぜひ片手にご来園してみてください。(書影の日焼けや損傷がひどいのはご容赦ください…)

異端の植物 「水草」を科学する

「異端の植物 『水草』を科学する」 田中法生 著

まずはやはりこちら、水草展リーダーの田中先生の著書「異端の植物 「水草」を科学する」です。水草について網羅的かつ、愛を持って深くまとめており、水草とは何なのか、水草について知りたい、という方にはまず第一にお勧めしたい本なのですが、非常に残念なことに絶版になってしまいました。

電子書籍は今も入手可能ですので、ぜひそちらをご活用ください。同じく田中先生の「水草の疑問50」もお勧めです。こちらは植物園の売店でも販売されていますので、お土産や、水草展の帰りの電車で読むのにぜひいかがでしょうか。

ネイチャーガイド 日本の水草

「ネイチャーガイド 日本の水草」

こちらは「ネイチャーガイド 日本の水草」という水草図鑑で、タイトルの通り日本に産する水草について網羅的に述べられています。展示解説に書ける情報量も限られていますので、ぜひ持参して、図鑑と見比べながら観察していただければと思います。
大量の付箋が張ってありますが、これらは今回、準備済みの種に青付箋、準備予定に黄色付箋、常設展示でみられるものに茶色付箋を貼ってあります。

関西の水草

「関西の水草」

こちらは「関西の水草」というガイドブックで、お手頃価格ですが現在品薄なようです。ほぼ同様の内容は「水草ハンドブック」としてPDFが無料で公開されています。
水草は一見するとよく似た見た目であるものの全く違う分類群であることもしばしばです。ぱっと見の形をもとに、絵解きでだいたいどの種類なのかわかる本書もまた、訪れる際に手元に置いておくとより楽しめると思います。

イネ科は「イネ科ハンドブック」、カヤツリグサ科は「カヤツリグサ科入門図鑑」

「イネ科ハンドブック」「カヤツリグサ科入門図鑑」

その他、イネ科とカヤツリグサ科もまた、水辺にたいへんよく見られますが、とっつきにくい分類群です。イネ科は「イネ科ハンドブック」、カヤツリグサ科は「カヤツリグサ科入門図鑑」が個人的なおすすめです。
これらは植物園の常設屋外展示にも様々な種類が意図的・非意図的を問わず生育していて、一つ一つ何だろうと観察しながら歩くと景色の解像度が上がって楽しいです。水草展に持ってくる必要性はあまり高くないですが、二周目、三周目の際にあればより楽しめる…かもしれません。

「滋賀の水草・図解ハンドブック」

「滋賀の水草・図解ハンドブック」

B5サイズの冊子である「滋賀の水草・図解ハンドブック」、残念ながら絶版ですが、「水草はどんな草?―それは今―」などもコンパクトなサイズながら著者のフィールド経験をもとに水草に対する知見を深めることができます。なかなか見かけませんが、もし見かけたら入手しておきたい書籍で、水草展をもっと楽しめること間違いなしです。

ほかにもお勧めしたい本は植物の利用やアクアリウム、園芸、洋書をはじめ沢山ありますし、紙面の都合で紹介できなかった書籍もあるのですが、今回は日本の水草に関する和書を中心に紹介いたしました。


さて、前回も感じましたが、水草展の準備に必要な水草の量はまさに桁違いです。
さいわい水草は増殖速度がひじょうに速いのですが、環境が合わないと成長を止めたり、急激に枯れてしまったりもします。
大量に増殖させたつもりが水槽に入れてみるとちょっとだけ、というのはよくある話です。しかも今年の気象はかなり異常で、生育や発芽率が極端に悪い、ふつうは育つやり方でやっても育たない、変な時期に花が咲いてしまう、急な暑さで溶ける、などといった種が数多く見受けられ、最後の最後まで気が抜けません。

あと少しですが、気を引き締めて準備に邁進します。

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