水草展2024~水草がつなげる世界~国立科学博物館 筑波実験植物園

2024年8/8日(木)~8/18日(日) ※期間中休園なし

※諸事情により、イベント内容が変更または中止になる場合がございます。最新情報はホームページでご確認ください

2024/7/25(木)

水草と環境

みなさま初めまして!筑波大学の母良田です。 国立科学博物館の特別研究生として水草の保全について研究しています。

本日は、「水草が環境を作る」という観点から、湧水河川についてお話しします。
水辺の環境として湧水河川は池や湖などと違ってあまり聞いたことがないかもしれません。

湧水河川は、地下からの湧き水が流れ込んでおり、場所によっては、夏場でも20℃に達しないくらいとても冷たく透き通っています。
このような環境では他では見られない水草を見ることができます。

湧水河川の水草

湧水河川の水草

湧水河川のシンボル、バイカモ(梅花藻)

湧水河川のシンボル、バイカモ(梅花藻)

例えばこのバイカモです。本種は15℃くらいの流れのある環境を好んでおり、多くの湧水河川のシンボルとなっています。
バイカモは漢字で書くと梅花藻であり、梅の花によく似た花を咲かせることからその名がついています。

バイカモの花

バイカモの花

この白い花が川を埋め尽くしているところを初めて見たときは思わず息を呑んでしまうほど美しかったです!
バイカモは人ともかかわりが深い水草となっていて食材として利用されることもあります。
茎や葉を湯がいて、おひたしなどにして食べている地域もあります。
私も一度頂いたことがあるのですが、独特の食感で臭みもなく、とても美味しかったです。
また、多くの歌人が句や歌を詠んでおり、歳時記ではバイカモは藻の花という単語で呼ばれ、夏の季語とされています。

バイカモ以外にもこのような環境でしか見ることができない生き物もいます。
その一つがこのイバラトミヨです。

イバラトミヨ

イバラトミヨ

本種はトゲウオ科に属していて、名前の通り背中にトゲを持っています。
また、繁殖期になるとオスは水草などの欠片を集めて巣を作り、子供を育てています!
水草を繁殖に用いており、水草ととても深い繋がりを持っています。

水草展の会場ではこの湧水河川をはじめとした水草のいる環境を水槽内に再現・展示します。
実際に観察しながら、環境について学ぶことができるようにしたいと思っています。
運が良かったらバイカモの花やイバラトミヨの巣を観察することができるかもしれません。
ぜひ会場でご覧になってください!思わず一句詠んでしまうかもしれません。

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