水草展2024~水草がつなげる世界~国立科学博物館 筑波実験植物園

2024年8/8日(木)~8/18日(日) ※期間中休園なし

※諸事情により、イベント内容が変更または中止になる場合がございます。最新情報はホームページでご確認ください

2024/7/19(金)

水草とゲンゴロウ

はじめまして!水草展でゲンゴロウを担当します、内山と申します。

「水草とゲンゴロウの繋がり」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。
もしかすると、そもそもゲンゴロウ自体をあまりよく知らないという方も多いかもしれません。

ゲンゴロウは水辺に棲む昆虫の仲間で、日本からは150種以上が知られています。
中々出会う機会が少ないかもしれませんが、夜に田んぼをライトで照らしたりすると、小さな種が泳ぎ回っていたりします(つくばであれば、ですが、、)。

そんな彼らですが、水辺に棲んでいることもあり、水草とは色々な繋がりがあります。

皆さんは、ゲンゴロウがどこに卵を産むかご存じでしょうか?
実は、多くの種が水草を利用しています。ひとくくりに水草を利用する、と言っても、水草の「茎の中」に産卵する種、「葉や茎の表面」に産卵する種、「根」を好む種、若干枯れかけの状態の水草を好む種など、様々です。

ナカジマツブゲンゴロウ。水草の茎に産卵管を差し込み、茎の内部に産卵します。

ヒメケシゲンゴロウ。硬めの水草の葉の表面を好み、くっ付けるように産卵します。

また、ゲンゴロウは亀のように「甲羅干し」をします。
亀は重たいので石や流木が必要ですが、ゲンゴロウの場合は水面に突き出た水草でも十分です。

シペルスヘルフェリで甲羅干しをするサザナミツブゲンゴロウ。

シペルスヘルフェリで甲羅干しをするサザナミツブゲンゴロウ

その他にも、あるゲンゴロウでは水草の茎に尾端を差し込み、そこから空気を得ることで呼吸をすることが報告されています。

マツモに尾端を差し込んでいるキボシチビコツブゲンゴロウ

マツモに尾端を差し込んでいるキボシチビコツブゲンゴロウ

このように、ゲンゴロウは生活の様々な場面で水草を活用しているのです。
今回の水草展では、大小さまざまな10種以上のゲンゴロウを生体展示します。
運が良ければ、産卵の様子や、水草を利用して甲羅干しをする様子、尾端を差し込んで呼吸する 様子も見られるかもしれません。

今回の水草展を通して、「ゲンゴロウ」と「水草」の繋がりを、実際に目で見て体感していただければと思います。
そしてあわよくば、ゲンゴロウの魅力も伝わったらいいな、と思っています。
水草に負けず劣らず、とても素敵な生き物です。

ぜひ、会場へお越しください!

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