2021/8/30(月)
オンライン学会祭り?
みなさんこんにちは。きのこ担当の保坂です。
昨年から続く新型コロナウイルスの影響で、社会全体の仕組みが大きく変わろうとしています。研究者が自分の研究成果を発表する場である「学会」の運営方法も、がらっと変わりました。一番大きな変更点は、オンライン学会というものが主流になった、ということです。
これまでの学会発表というのは、どこか大きな会場を使って、大勢が一同に集うのが通常でした。そうすることで、様々な研究発表を聞くことができるだけでなく、多くの研究者や学生と交流することができ、貴重な情報交換の場ともなっていたのです。ところが、最近は大勢で集まるイベントの開催が難しくなりました。そこで最近盛んになってきたのが、オンライン学会というわけです。
オンライン開催なので、出張先に出かけることはありません。自宅や職場のパソコンから直接参加することになります。旅好きな僕としては物足りない点もありますが、オンラインとなり良くなった点もたくさんあります。例えば、学会会場によっては後ろの方の席にすわると、発表スライドが良く見えない、ということが良くあります。途中から入室してきた人の足音やドアを閉める音が耳障りになることもしょっちゅうです。これがオンライン学会だと、発表スライドは自分のパソコンモニターから見るので、よっぽど小さい文字などが使われていない限りは、見逃すことはありません。
もうひとつの良い点が、学会のはしごや掛け持ちが簡単にできる、ということです。これまでは、出席を希望する学会の日程が重なっている場合は、ひとつに絞らざるを得ませんでした。北海道で開催される学会に出席して、直後に大阪に移動して、などと頑張ってはしごをしたこともありますが、いくら旅好きの僕でも、この移動は楽ではありません。ところがオンラインで開催することで、移動にかかる労力はゼロ。
このブログが公開される直前の1週間は、日本菌学会のオンライン大会が開催されていました。僕も学会運営と自身の発表があったので参加していたのですが、そのちょうど中日に、オーストラリアの学会から招待されて講演することになりました。これまでだったら泣く泣く招待にお断りの連絡をいれるところでしたが、今回は問題なし。朝一で日本の学会に出席し、途中からオーストラリアの学会で1時間ちょっと講演、その後日本の学会にカムバック、という荒業を、なんの苦労もなく成し遂げることができました。
各学会では、オンラインでの大会開催への試行錯誤が続いているようです。機械や通信環境の不具合など、予期せぬ事態もしばしば起こっているようです。でも、オンライン学会への流れはもっと加速し、今後もより良い方向へ進化することでしょう。パンデミックが落ち着いたら、ぜひまた旅先での学会に参加したいと思いますし、やはり実際に会って交流するのと、完全オンラインでの交流は同じではない、という思いがあります。でも、研究発表における「ニューノーマル」をまさに今体験しているということなのかもしれません。
ちなみにオーストラリアの学会では小笠原諸島の菌類について講演しました。小笠原諸島にはほぼ毎年調査に行っていますが、今年は残念ながら行けなさそうです。
小笠原諸島・父島の中山峠から見る海。こんなきれいな海の写真を見せながら、行くことができないのがもどかしい...