きのこ展2018 ~みんなでさぐるきのこのふしぎ~
場所:国立科学博物館筑波実験植物園

2018/9/11(火)

北海道のいろんなきのこ!紹介します。

皆さんこんにちは。きのこ展担当の保坂です。

すでに9/4(火)のブログ記事で紹介しましたが、今年は海岸のきのこ調査を頻繁に行なっています。毎月恒例で行っているのが、千葉県の房総半島沿岸部の調査。半島の南端から北上しながら、海岸部のきのこを探しています。

それとは別に、今月の初めには北海道で調査をしてきました。さすがに北に位置する北海道だけあって、すでに秋の気配が漂っていました。石狩湾には人気のある海水浴場もたくさんあるのですが、人の気配はまばらです。

石狩湾

なぜ石狩湾で調査をしたかというと、ここは「スナタマゴタケ」の日本における唯一の産地なのです。和名にはタマゴタケ、と付きますが、テングタケ科テングタケ属の「タマゴタケ」とは全くの別種。スナタマゴタケはマッシュルームが属するハラタケ科ハラタケ属と近縁なきのこです。

スナタマゴタケが日本で採集されたのは、たった1回だけ!それも1930年のことです。それ以来、石狩湾はもちろんのこと、日本のどの場所でも再発見されていないので、日本において本種は「絶滅種」として扱われています。はたして本当に絶滅してしまったのか、それとも実際には菌糸や胞子としてひそんでいるのか、はたまた見逃しているだけなのか?それを明らかにするために、石狩湾の海岸沿いを探ってみました。

残念ながら、今回の調査ではスナタマゴタケらしいきのこは発見できませんでした。でも、秋が始まったからでしょうか。乾燥した荒野にしか見えない砂浜には、複数のきのこが生えていました。

ナヨタケの仲間

例えば、これはナヨタケの仲間。砂浜に高さ3センチほどの子実体が数十本も群生していました。周りに生えている植物から栄養分や水分を摂っているのでしょうか?

そして、やや大型のこのきのこ。

ザラミノシメジ属

カサの径は大きいもので10センチ程度ありました。ザラミノシメジ属だと思われます。

もちろん、砂浜から生えるきのこばかりではありません。海岸にはどこからか流木が流れ着いてきます。そこから生えるこんなきのこも。

スエヒロタケ

これは「スエヒロタケ」。世界中のあらゆる環境に発生するきのこですが、はたしてこの個体はもともと石狩湾にいた個体なのか、それとも流木といっしょにどこからか流れ着いた個体なのか、調べてみる価値はありそうです。

そしてこの調査が終わり、つくばに戻ってきた直後、台風21号が日本列島を縦断し、北海道も甚大な被害を受けました。さらにその直後には大きな地震まで発生。皆様のご無事を心よりお祈り申し上げます。

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