きのこ展 2023 ―日本のきのこ学をつくってきた巨人たち― ブログ

会期 2023年10月21日 土曜日から10月29日 日曜日まで(会期中無休)開園時間 9時から16時30分 入園は16時まで 筑波実験植物園

2023/10/20(金)

日本のきのこ学をつくってきた巨人たち その6

みなさんこんにちは。きのこ担当の保坂です。

今回紹介するのは安田篤(やすだ あつし)です。1868年に東京で生まれ、帝国大学理科大学(現・東京大学理学部)では松村任三や三好學の指導を受けました。なお、松村任三はつい先日まで放映されていたNHK連続ドラマ小説「らんまん」で主人公の因縁の相手の徳永教授として描かれていた人物です。

安田は1897年に旧制第二高等学校(現・東北大学)の講師となり、すぐに教授に就任し、定年まで菌類(特に木材腐朽菌)や、蘚苔類、地衣類などの研究をつづけました。日本で最初の地衣類図鑑「日本産地衣類図説」の著者としても知られています。

そんな安田が関わったきのこを一種だけ紹介します。それは「アミラッパタケ」。高さ2センチ程度の小型のきのこで、その名の通り、ラッパのような形をしています。

アミラッパタケの乾燥標本(国立科学博物館蔵)

このアミラッパタケは、安田が1914年に仙台市内のとある場所で採集したのですが、それ以来、だれも採ったことがない、という幻のきのこです。そのため、環境省のレッドデータブックでも絶滅、とされているのです。僕自身も再発見を目指して仙台に通い続けていますが、いまだに見つからない謎の存在、それがアミラッパタケ。安田の発見がいまだに謎を投げかけてくるのです。

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