きのこ展 2023 ―日本のきのこ学をつくってきた巨人たち― ブログ

会期 2023年10月21日 土曜日から10月29日 日曜日まで(会期中無休)開園時間 9時から16時30分 入園は16時まで 筑波実験植物園

2023/10/18(水)

日本のきのこ学をつくってきた巨人たち その4

みなさんこんにちは。きのこ担当の保坂です。

今回紹介するのは川村清一(かわむら せいいち)です。1881年に岡山県で生まれ、1914年に千葉県立高等園芸学校(現・千葉大学園芸学部)に勤務してからは、定年まできのこや植物病原菌の研究をつづけました。

日本のきのこ学を語る上で忘れていけないのは、川村による「日本菌類図譜」(全5集)の存在です。これは掲載種の全てにおいて水彩画のスケッチを伴う、いわば日本で最初のカラー版きのこ図鑑なのです。この出版物の成功が、その後の本郷次雄、池田良幸らの、水彩画を重視する流れにつながったのかもしれません。

川村自身はラテン語を伴う正式な新種記載にはほとんど関わりませんでした。しかし、彼による詳細な特徴の記載からその後の研究者による新種記載につながったきのこがいくつもあります。直径50センチをこえることもある巨大なホコリタケの仲間、オニフスベもそんな種のひとつ。

オニフスベ

また、川村自身が詳しく観察したもう一つの種がコウボウフデ。

コウボウフデ

切断した様子はまるでトリュフ型のきのこですが、これが成熟するとどんな姿になるかは、展示会場でご確認ください。川村の時代にはこれは担子菌類だと思われていましたが、その後の研究で子のう菌類という門レベルで異なる生物であることがわかったのも、興味深い流れです。

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