きのこ展 2023 ―日本のきのこ学をつくってきた巨人たち― ブログ

会期 2023年10月21日 土曜日から10月29日 日曜日まで(会期中無休)開園時間 9時から16時30分 入園は16時まで 筑波実験植物園

2023/10/18(水)

日本のきのこ学をつくってきた巨人たち 番外編

みなさんこんにちは。きのこ担当の保坂です。

今回は日本ではなく世界代表として、ロルフ・シンガーを紹介します。1906年にドイツに生まれ、途中でナチスの迫害にあいながらもスペイン、フランス、ロシア、アルゼンチンなどできのこ研究の職に就き、1968年から25年間はアメリカ・シカゴのフィールド博物館で活発な研究をつづけました。まさに激動の人生です。

シンガーは生涯に2000種以上の新種を記載しました。きのこ研究を進めるうえでは神様のような存在です。これだけ多くの新種を発表するとなると、小さな標本であろうとどんどん記載を進めていく必要もあったようで、他の多くの研究者であれば新種発表を躊躇するであろう、決して状態の良くない小さな1本のきのこからでもたくさんの論文を発表しています。

Boletus fuligineotomentosus(フィールド博物館所蔵)

コロンビアから採集されたイグチの一種、Boletus fuligineotomentosus
(フィールド博物館所蔵)。シンガーにより1973年に新種発表された。残っているのはこの写真にある小型の1本の標本のみ。

シンガーの頭の中には、ありとあらゆるきのこの特徴が整理されていたのでしょうが、さらに驚くのは彼によるきのこのスケッチ。その衝撃の線画はぜひ会場でお楽しみください。日本の誇る、川村清一、本郷次雄、池田良幸などによる詳細な水彩画とは一線を画す、その味をぜひ体感してほしい、と思っています。

トップページへ