2023/10/19(木)
日本のきのこ学をつくってきた巨人たち その5
みなさんこんにちは。きのこ担当の保坂です。
今回紹介するのは今井三子(いまい さんし)です。1900年に群馬県で生まれ、北海道帝国大学(現・北海道大学)、北海道学芸大学(現・北海道教育大学)、横浜国立大学などできのこの研究をつづけました。名前からは判断しづらいかもしれませんが、男性です。
北海道ではたくさんのきのこの新種を発表していますが、面白いことに彼のもうひとつの活躍の場は、はるか南の小笠原諸島。1930年代に小笠原諸島を調査し、その後他のだれもが再発見できないような珍菌をたくさん発表しています。
そんな今井が発表したきのこのひとつが、ハハシマアコウショウロ。小笠原諸島母島の「石門」という地域で採れた、という以外の情報はほとんどなく、環境省のレッドデータブックでは絶滅、とされています。共同研究したオレゴン州立大学には非常に良い状態のホルマリン漬けの標本が残されており、それを見ると直径1センチ程度の不思議なトリュフ型のきのこであることがわかります。
でもこのきのこ、実はもうひとつとんでもない秘密が隠されていたのです。その驚きの正体については会場で確認してもらいたいと思っていますが、興味ある方はぜひこの学術論文(※外部サイト)をご覧ください。