2014/12/22(月)

企画展の隠れキャラ

みなさんこんにちは、地学研究部の矢部です。矢部先生

このブログでも以前紹介した、栃木県那須塩原市の木の葉石。第二会場の中央にある柱の周囲3辺に、額縁にいれて展示しているのですが、みなさん気づいたでしょうか?

額縁は5つあって、それぞれ違う種類の化石が入っています。この展示の準備をしているとき、なかば遊び心で、それぞれの額縁にテーマを持たせて作ってみました。シダセット、カエデセット、ドングリセット(ドングリを作るブナ科植物)、水草セット。ここまでは気づいた方も多いのではないかと思うのですが、あとの1つはちょっと深いです。

このセットには、カツラ、ヤマグルマ、ハウチワカエデという3種類の植物を入れています。この3種、実は「東アジアに特有の植物」をテーマに集めたものです。カツラは日本と中国に、ヤマグルマは日本と韓国と台湾にだけ生える植物です。最後のハウチワカエデは、学名がAcer japonicumということからも想像できるように、日本にしか分布しない種類、固有種ですが、ハウチワカエデのように手のひらのような形の葉をしたカエデの仲間、これをイロハカエデ節(節は属の下にある区分)と呼びますが、これが1種をのぞいて東アジアだけに分布するためです。ちょっと苦しかったかな。。。

この化石が意味するところは、30万年前の日本にこれらの現生種が生えていたということ。第一会場には、日本で一番古いハウチワカエデの仲間の化石も展示しています。化石を通じて植物の来し方が感じられるでしょうか?

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