2014/11/25(火)

植物の化石はバラバラ

みなさんこんにちは、地学研究部の矢部です。矢部先生

前回「木の葉石」のことを紹介しました。木の葉ですから、もちろん葉を意味しているのですが、同じ地層からは種や実の化石ももちろん出てきます。木の葉で代表されてしまうのは、葉の化石のほうが目立つし、多く出てくるからだと思います。どうしてそのようになるのでしょうか?

皆さんも落ち葉を拾ったり、ドングリを拾ったりした経験があるでしょう。植物は動物と違って動くことができない代わりに,自分の子孫を増やすために花粉を飛ばしたり、種や実を体から切り離して散布します。樹木の場合には,古くなった葉を落として、次の新しい葉を付けますね。植物の化石には、こうした植物の生活の中で切り離された部分がそれぞれバラバラに化石になる場合が多いのです。こうして考えると,葉の化石が多くて、種や実の化石が少ない理由もわかるでしょう。幹にいたっては、たった1本です。一番多いのはというと、そう、花粉や胞子の化石です。また、樹木と草を比べると、樹木は草に比べてずっと大きくて、一生のうちに何度も葉や実を付けるので化石記録が多いのに対して、草の場合は葉が落ちませんし、1年で枯れてしまうものも多いので、葉などの化石が少ない傾向があります。昔のことを知ろうと思ったら、その化石がどんな植物のどんな部分なのか植物のいろいろな部分を調べてやらなければならないのもこういう理由です。皆さんも、植物化石展の化石がどんな植物のどんな部分か、考えてみて見るとさらに面白みが増すと思いますよ。

塩原の木の葉石

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