2014/12/12(金)

化石を含む石に注目

みなさんこんにちは、地学研究部の矢部です。矢部先生

植物化石展では毎週末に石の中から木の葉の化石を探す「化石クリーニング体験」をおこなっています(すでに申し込みがいっぱいになっていて申し訳ないのですが。。。)。古生物の世界でいうクリーニングは、もちろん部屋や洋服のクリーニングとは違って、化石を石から取り出したり、観察しやすい状態にすることを言います。

骨や殻などの硬質部分からなる動物化石の場合には、化石を石から完全に取り出す(取り出せる)ことが多いのですが、植物化石、とくに圧縮化石の場合には石から完全に取り出すのは難しいです。今回のクリーニング体験でも、石を割って、中に隠れている化石を見つける体験を主にしてもらっています。

化石を完全に取り出せないのは残念だと皆さんは思うかもしれませんが、私自身は、化石の周りに石が残っているというのは、実はとても大事なことだと思っています。石、つまり地層には、どんな場所でどのようにたまったかを知るためのいろいろな証拠が隠されているからです。少し石についての知識があれば、海でたまったものなのか、陸でたまったものなのか、湖でたまったものなのかが、石を見ただけである程度わかります。それに、植物の化石がどのくらい密集しているのか、葉以外にもどんなものが一緒に出るかといったことも、植物の化石が生えていた場所からどれくらい運ばれたかを知る手がかりになります。

今回の展示では、「植物化石のいろいろ」というコーナーに、違う場所でたまった3つの化石を展示しています。ひとつは塩原の木の葉石、湖でたまった地層です。もうひとつはヌマスギ。湿地に生えていたヌマスギの各部分がほとんど流されることなくたまったものです。最後の一つは海底でたまったもので、様々な植物の葉だけが密集しています。流される過程で、密度の違う部位が選別されたというわけです。

地層から化石になった植物の背後の情報を読み取る。そんなことにも是非挑戦してみてください。

密集するヌマスギ化石 兵庫県神戸市 約3000万年前

密集するヌマスギ化石 兵庫県神戸市 約3000万年前

密集するヌマスギ化石 兵庫県神戸市 約3000万年前

海の地層から見つかった葉の化石 福島県いわき市 約1800万年前

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