2014/10/10(金)②
こんにちは。地衣類担当の大村です。
きのこ展会期中の10月19日(日)には「地衣類テラリウム講座」が行われます。
テラリウム(terrarium)というと聞き慣れない人が多いと思います。しかし、アクアリウム(aquarium)はお馴染みですよね。アクアリウム(aqua=水)が水生環境ならば、テラリウム(terra=陸地)は陸生環境をガラス容器の中に再現したものなのです。
地衣類のうちハナゴケ類は、「木」のように見えることから、鉄道模型などのジオラマにしばしば用いられます。地衣類のことを英語でlichenと言いますが、ジオラマファンの間でそれらは「ライケン」としてよく知られています。「ライケン」は模型屋さんで購入でき、50gで500円ぐらいです。地衣類テラリウム講座ではそれらを使って作品を作ります。
ハナゴケ類が「木」というよりも「サンゴ」や「海藻」のように見えるという人もいます。見え方は人それぞれなので、地衣類テラリウム作品は太古の恐竜時代のようなものから、アフリカのサバンナ、海の中の世界など、思いも寄らないような自由な発想(+奇抜な作品タイトル)が飛び出して、私の方も皆さんの作品を毎年楽しんでいます(写真は昨年の講座風景)。
市販の「ライケン」は、高緯度のツンドラ地域に自生するハナゴケ類を着色・薬品処理して輸出しているものです(おもに北欧産?)。私が2012年に調査したロシアのマガダン(北緯約60度)でも写真のようにハナゴケ類が地表一面に広がっていました。日本でも亜高山から高山帯にかけての一部の地域でこのような景色を見ることができます(ただし、それらの地域での採集には特別な許可が必要であり、原則として採集できません)。
地衣類テラリウムのメリットは、すでに枯れている地衣類を使うので、「お世話がいらない」ということです。みなさんもお部屋のインテリアにいかがでしょうか?