きのこ展ブログ

2014/9/25(木)

きのこ観察会(フォーレ)無事終了!

みなさんこんにちは。きのこ担当の保坂です。今日は、きのこ「フォーレ」についてご紹介します。

でも、いったい「フォーレ」って何?という人がほとんどでしょう。フォーレ、というのはもともと英語のforayから来ています。本来は「略奪する」という意味。なんだか物騒ですが、きのこの採集会ではアメリカでもイギリスでも、そして日本でもこのフォーレという言葉を使います。

今回紹介するのは、日本菌学会が毎年開催する菌類観察会。略して菌類フォーレです。その名前から分かる通り、きのこが中心ではあるものの、カビやその仲間も観察の対象になります。なにしろ、日本菌学会会員だけでなく、日本全国各地に存在するきのこ同好会のメンバーが集合するので、毎年100人以上が参加するとても大規模な観察会なのです。

週末を利用しての観察会なので実際に野外に出て採集するのは半日程度なのですが、そこは観察する目の多さ。ものすごい数のきのこが集まります。今回の開催地の宮城県仙台市でも、当初は雨があまり降らずにきのこの発生が心配されていましたが、結果はと言うと...

鑑定会会場

鑑定会の会場には山のようなきのこが!。会場ではあらゆるきのこが名前や採集場所の詳細の情報といっしょに、分類のグループごとに並べられます。そして、きのこの専門家が解説をします。そのようにして、体育館のような広大な会場でたっぷりときのこを楽しむことができるのですが、それだけで終わらないのが、このフォーレの特徴なのです。

鑑定会説明

鑑定会会場には「撮影班」が待機しており、採集されたきのこを次々と写真撮影していきます。さらに将来の研究のために、DNA用のサンプルを準備していきます。一晩だけで400点近い標本を処理するというものすごい量です。

標本撮影班

サンプル処理・DNA

ちなみに僕自身の通常の野外調査では、どんなに夜遅くまでがんばっても、処理できる標本の数は50点程度です。それから考えても、いかに大量の標本が得られたがわかるでしょう。当然僕だけで頑張ってもダメで、今回は計10名近くがこの作業を手伝ってくれました。

乾燥準備完了

そして真夜中も近くなってきたころ、ようやく全ての標本の処理が終わり、きのこを総計8台の乾燥器にセットし、その日の作業は終了。次の日の朝には、きれいに乾燥したきのこ標本ができあがったのでした。

乾燥標本

きのこ調査では、コツコツと少しずつ標本を確保してくことと同時に、今回のフォーレのように1日で超大量の標本を得るのは非常に貴重な機会となります。今回得られた400点近い標本は、国立科学博物館の菌類標本庫に永久的に保管され、様々な研究に利用されていくことでしょう。