2015/10/02(金)
生物を守るためには「生物のきずな」も大切
植物研究部の國府方です。
イトスナヅルは根も葉もなく、ホスト植物がいないと生きていくことができない半寄生植物で、茎に寄生根とよばれる吸盤をつくってホスト植物から栄養分をもらっています。
このイトスナヅルは琉球列島だけに分布する固有種で、最初の発見は琉球列島の久米島でした。しかし、久米島ではその自生地は消えてしまい、いまでは伊是名島の数箇所、つまり地球上で数箇所にしか生き残っていない絶滅危惧植物です。
イトスナヅルはホスト植物の選択性が高く、わずか2種の植物にしか寄生しません(オオマツバシバとクロガヤ)。その2種のうち、主要なホストであるオオマツバシバも絶滅危惧植物です。つまり、イトスナヅルを守るにはホストとなるオオマツバシバの保全も行う必要があります。
どんな生物にも「生物のきずな」があり、その生物を守るためには「生物のきずな」も大切なのです。