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2014/5/23(金)- 23日のブログ2本目 -

シダの固有種もご覧ください!

植物研究部の海老原です。せっかくの機会ですから、私の専門のシダ植物の固有種にも少し触れることにしましょう。

シダの日本固有種は112種(亜種・変種を含めて141種)と、種子植物に比べて多いとは言えない数です。 しかしながら、本展示では筑波実験植物園の誇るシダコレクションの中から、稀少な種を多数出展しています。 会場で花を咲かせないシダにカメラを向けている方はほとんど見かけませんが、実は貴重なものがたくさんあるので、お見のがしなく!

シダコレクション

宮崎県で発見されたヒュウガシケシダは、シカの食害の影響もあって、野外でほとんど見られなくなってしまった種です。シケシダの仲間で根茎が立ち上がる種は日本では珍しく、近縁種は中国に分布すると考えられています。第二会場の九州コーナーでご覧いただけますが、実は第三会場のシカ柵の内側にも展示されています。実は、今回のシカ柵はヒュウガシケシダ自生地のものを参考に作りましたので、重要な役者です。

展示の様子

シダらしからぬ格好をしたトネハナヤスリ(第二会場)。利根川河川敷で最初に発見され、その後、渡良瀬遊水池に大群生があることが判明しました。地上部が短命なのが特徴で、夏頃までには葉が枯れてしまいます。

展示の様子

奄美固有種のホソバイワガネソウは、関東などで普通に見られるイワガネソウ(非固有種)とそっくりですが、染色体の数がイワガネソウの半分であることが判っています。奄美固有種のホソバイワガネソウは、広域分布種のイワガネソウの祖先種である可能性があるのです。祖先が奄美大島だけに生き残っているなんて不思議ですね。

展示の様子

最後に、第三会場入口に展示された植物の足下にもいくつかのシダが展示されています(リョウメンシダ・タニヘゴ・ヤマイヌワラビ)。これらは可憐な花々の引き立て役として配置しているもので、固有種ではありません。そのため会場には種名も表示はしておりません。こちらではどうぞ主役の花の方をお楽しみください~。