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2014/5/22(木)

チャルメルソウの名前の由来

植物研究部の奥山です。

日本固有の植物展の展示期間もあとわずかになりました。まだ見ていない方はこの機会をどうぞお見逃しなく。

さて、展示会場の入り口、そして展示パネルの各所にも現れるこの方、 ちゃるおはコチャルメルソウをモデルにしたキャラクターですが、手に何やら持っていますね。

ちゃるお

これはチャルメラというダブルリードの木管楽器で、何を隠そう、チャルメルソウの名前は、果実がチャルメラによく似ているためなのです。昔(?)のラーメン屋台のメロディー「ちゃららーらら♪ちゃらららららー♪」もこのチャルメラで鳴らしていたそうですよ。

チャルメラ

チャルメルの実物はこれで、右側がチャルメルソウの果実です。確かに似てるでしょう?

ラッパの口に当たる部分には種子がたくさんのぞいていますが、雨が降ると、水滴がこの種子をはじき飛ばすようになっています。種子はしばしば近くに流れている水でさらに遠くに運ばれます。

こうしてチャルメルソウの仲間は命をつないできたのです。
さてさて、ではなぜ、「チャルメラソウ」ではないのでしょうか?実はそこには由緒正しい理由があるのです。

本草図譜

こちらは江戸時代末期の見事な植物図鑑「本草図譜」に描かれているチャルメルソウです。非常に精密に描かれているので、左がコチャルメルソウ、右がチャルメルソウであることも一目で分かります。

そうです。ここにははっきり、「ちゃるめるさう」、あるいは「ちゃるめる」と書かれていますね。最初にこの植物を名付けた江戸時代の人は確かにチャルメルソウと呼んでいたことが分かるわけです。 ですから、チャルメラソウでも意味は正しいのですが、チャルメルソウと呼ぶのが正式なのです。

第2会場で展示中のチャルメルソウの仲間のほとんどは、今このチャルメラ型の果実をつけていますので、ぜひお越しの際は注目してみて下さい。