きのこ展2024~きのこの本当のすがた~国立科学博物館 筑波実験植物園

2024年10月12日(土)~10月20日(日) ※期間中休園なし

2024/10/12(土)

プレ企画『地衣類リースを作ろう』

きのこよりも「苔」として認識されることが多い地衣類を担当している大村です。

地衣類は、菌類と藻類からなる共生体です。馴染みがないように思われるかもしれませんが、実はフラワーアレンジメントの材料などとして、知らないうちに地衣類に触れている方も少なくないかもしれません。

きのこよりも「苔」として認識されることが多い地衣類。地衣類だけでリースを作ろう!というユニークな企画 フラワーアレンジメントに用いられる地衣類

10月5日にきのこ展のプレ企画として地衣類を使ったリース作りのワークショップを開催しました。

リースといえば、クリスマスやハロウィーンなどのイベントや、日常的に壁や扉に飾って華やかさを演出してくれるアート作品です。リース作品で地衣類を脇役として使うことはしばしばあるようですが、今回は地衣類だけでリースを作ろう!というユニークな企画でした。

材料として売られている地衣類の商品名が「アイスランドモス」となっていることもあるので、「モス?それコケでしょ?」と思われるのも無理はありません。

しかも、アイスランドモスは実はエイランタイという地衣類の別称であるのに、商品の中身はハナゴケ類が入っていることがあります。このハナゴケ類はトナカイが食べるということから「レインディアモス」と呼ばれており、正確にはこちらが正しい商品名になります。

ハナゴケ類 さまざまな呼び名があるハナゴケ類

地衣類研究者としては、世の中に広がる間違いだらけの地衣類の知識を放っておくことはできません。 そこで、このワークショップでは、まず30分間の地衣類講座で素材について理解を深めていただいた後で、 フラワーコーディネーターの弓木先生にリース作りを指導していただきました。

小学生や初めての方にも作りやすいように、台座のオアシスや作り方に工夫をして頂いており、 地衣類の知識と素敵な作品をゲットしていただけた1時間半の講座になったのではないかと思います。

ワークショップの風景1 フラワーコーディネーターの弓木先生によるリース作りのワークショップ

ワークショップの風景2 台座のオアシスに地衣類を飾り付けていきます

完成した作品は、暖かい春の日差しのように柔らかい色調でまとめられたものから、壮大な森を表現したものまで、同じ材料を使っても、 これほど個性豊かに多様な表現ができるのかと驚かされました。

きのこ展期間中に作品を展示してくれる方を募ったところ、 「皆さん持ち帰りたいだろう」と思っていた予想に反して、多くの方が展示にご協力くださいました。

完成したカラフルな地衣類リースの数々

きのこ展期間中、研修展示館3Fに作品が展示されていますので、ぜひ足を運んで素敵な作品をご覧ください!

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