きのこ展2019 ~地下にもぐったふしぎなきのこたち~
場所:国立科学博物館筑波実験植物園
ツチグリ画像

2019/09/13(金)

『青森県で菌類観察会!』

みなさんこんにちは。きのこ展担当の保坂です。

日本菌学会は「菌類観察会(フォーレ)」というイベントを毎年主催しています。今年の会場は青森県。世界自然遺産にもなっている白神山地のほとりで菌類を調査します。

大型の台風が近づいている影響か、まるで真夏のような暑さの中でしたが、やはりブナやミズナラを中心とする白神の森は、とても気持ちの良いところでした。現地の方はみんな「何も生えていないかも」と言っていましたが、いざ森に入るときのこがたくさん!

手のひらほどのサイズの大型のホコリタケも生えていました。

ホコリタケ

多様なきのこがいっしょに生えているからか、面白い組合せもいくつか見ることができました。

例えばこれ。

カメムシタケ

手前のきのこはアカイボカサタケ。少し奥に生えているオレンジ色の細長いきのこはカメムシに寄生して生える冬虫夏草の一種、カメムシタケです。

かと思うとこんな組み合わせも。

タマゴタケ

奥のど派手なきのこはご存じタマゴタケ。手前に生えている白いきのこはドクツルタケ(正確にはニオイドクツルタケ)。どちらもテングタケ属のきのこですが、タマゴタケは美味しい食用きのこですが、ドクツルタケは猛毒!

チョレイマイタケ

面白かったのは、チョレイマイタケというこのきのこ。「チョレイ」とは「猪苓」、つまりイノシシの糞のこと。とは言っても猪の糞から生えるのではなくて、地面深くに菌糸の塊(菌核)を作り、そこから発生するきのこです。

そして、土の中から掘り出して水で良く洗ったチョレイマイタケの猪苓、もとい菌核がこちら。

チョレイ

昔の人はこれを見て、イノシシの糞を思ったのかもしれません。

こんな感じで楽しく採集した後は、参加者全員が各自の採集物を鑑定会場に持ち寄ります。名前を調べ、採集場所などのデータを記入したら、きのこをいっせいに並べます。その様子はまさにきのこ展!

鑑定会

この日の採集品の代表的なものは、翌日に国立科学博物館に発送され、無事に乾燥標本となりました。今後も末永く研究に利用されることでしょう。

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