筑波実験植物園

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6月26日(金) タケニグサは芸術だ!
こんにちは。登録室のTです。

「タケニグサ」という植物を知っていますか?ケシ科の多年草で、主に荒れ地や空き地に生える植物で、一般的には雑草扱いです。初夏には大人の膝くらいの高さだったはずが、気がつけば今では2メートルを優に超えていて、すっかり見下ろされています。

「たかが雑草」と侮るなかれ!2枚の萼に包まれた純白の蕾が開くとまるで花火のような華やかさ。花弁はなく中央の雌しべを囲んでいるのはすべて雄しべです。グローブのような大きな葉は表がフレッシュグリーン、裏がシルバーグリーンという今流行りのバイカラー。うぶ毛に覆われた葉は、夏の日差しの中で黄金色に輝きます。

この植物に魅せられ、金・銀・プラチナを贅沢に使って、六曲一双の屏風に仕立てた川端龍子という画家がいます。東京国立近代美術館の《草炎》、大田区立龍子記念館の《草の実》は双璧で、その大きさとゴージャスさに圧倒されます。

屏風の中で黄金色に輝くタケニグサもいいけれど、やっぱり大地に根を張り、風になびいたり雨に打たれたりしながら生きている本物のタケニグサに私は惹かれます。いずれにしてもタケニグサは芸術なのです!

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6月24日(水) 雨の日に見たもの
こんにちは。植物園の永田です。

ひと気のない静かな園内で
天を仰ぎ見るかのようなツマグロヒョウモン
雨粒を受けて、何を思うのでしょう・・

雨の日の植物園も風情があって
いつもと違う景色がご覧になれます。

温室は一部を除き6/23より公開しています。
新型コロナウイルス感染拡大防止のお願いがございますが、
傘を片手にどうぞご来園くださいませ。

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6月9日(火) アガベ・サルミアナ・フェロクス ようやく開花!!
こんにちは。登録室のTです。
5月9日に「まもなく」とお知らせしておきながら、気を揉ませたアガベ・サルミアナ・フェロクスがようやく開花しました。たくさん蕾がついていますので、咲き終わるまでしばらく楽しませてくれそうです。

全体がクリーム色なので遠目にはわかりづらいのですが、花粉をつけたくさんのおしべが立ち上がっていて、その中にめしべも見えます。蕾のようにみえるのが花被片(花びらと萼の総称)です。

開花までは長い道のりでした。このアガベが筑波実験植物園にやってきたのは1986年、今から34年前のことです。今回が初めての開花です。大切に守られ、育てられ30数年、ようやくこの時が来ました。こんなにも長い間かけて咲いたのですが、花が終わると枯死してしまうそうです。この機会にぜひご覧ください。

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6月4日(木) 植物園の小さな生き物たち
こんにちは、植物園の永田です。

アラ?植物の話じゃないの?と思われるかもしれませんが、
今回は植物と深い関りがある生き物たちにスポットを当ててみました。

梅雨入り間近の開花調査中の出来事です。
いつもなら、私の存在に気づくと脱兎のごとく逃げていくカルガモが、
水生植物区の木道で、のんびり毛づくろいをしています。
ソーシャルディスタンスを保ち、来園者と程よい距離をとっています。
「今日はどぉ〜した?逃げないの?」と声をかけるも返答なし!

そして、ガサゴソと身を隠すカナヘビも微動だにせず、
長い尻尾を強調してカッコよく被写体に収まってくれました。
「獲物見つけた?それとも満腹で動けないの?」と声をかけるも返答なし!

勝手な想像をふくらませ、ほどよくかいた額の汗を拭いながら園内を歩き回りました。
今日はほのぼのした良き日、良き開花調査となりました。

美しい花々、清々しい緑に目を奪われますが、植物園には小さな生き物たちもたくさんいます。ぜひ皆さんにも様々な出会いがあれば嬉しいなあ〜と思います。
温室はまだご覧になれませんが、初夏の風を感じながら園内散策は気分爽快になること間違いなしです♪

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6月2日(火) ふたつのヤマボウシ
こんにちは。登録室のTです。
今、園内の各地でヤマボウシの花が咲いています。植物に詳しい方なら承知と思いますが、ヤマボウシの白い部分は花びらではなく「苞」といわれるもので、中心にある球状に固まっているものが花の集まり(花序)です。数ミリの小さな花は目立ちませんが、苞のおかげで遠くからでもその存在がよくわかります。

さて、私たちがよく知っている「ヤマボウシ」とは別に、園内にはもうひとつ「ヒマラヤヤマボウシ」の木もあります。苞の形がヤマボウシより丸く、クリーム色をしています。この木は温帯資源(中央)にあるのですが、ヤマボウシほど目立たないため意識していないと見逃してしまうかもしれません。花の本番はこれからですので、ぜひ探してみてください。

どちらもミズキ科ミズキ属の木ですが、ヤマボウシは落葉樹、ヒマラヤヤマボウシは常緑樹です。苞や葉の色、形を比べてみるとより面白いと思います。

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