筑波実験植物園

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こんにちは植物園です

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9月30日(水) 菌類H2Oの北硫黄島調査2 灼熱地獄の中を水の運搬でバテバテ
細矢です。北硫黄島調査レポートの続きです。

さて無事上陸後、私たちがベースキャンプに選んだのは海岸から数キロ、標高約190mのところにある精糖工場の跡地です。でも、ここまで行くのも大変。なんといっても水場がないため、往復して食料も水も持って上がらなくてはなりません。

幸い、上陸時には風が出ていたのですが、往復のころになると日差しはかんかん照り、海岸はまさに灼熱地獄で、重い荷物を担いでいるとそれだけでも汗が滝のように出てきます。もうバテバテです。熱射病にならないように、止まるたびに水を飲みながら、生活に必要な物資を上げていきました。

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9月29日(火) そろそろ芝生に根性の白い花が咲きます
育成管理の二階堂です。

多様性区の芝地に白いロープで囲いをしました。このエリアにはなぜかセンブリが花を咲かせます。

山林の日当たりの良いところに生える、日本固有の苦味が特徴の薬草です。自生地では30cmぐらいまで丈が伸びますが、当園のものは5cm程度と小型です。芝刈り機でつねに刈られている場所に生えるからだと思います。何度も切られて踏まれ続けても、何度でも伸びて毎年つぼみをつけるその根性はすごいですね。

丹精な作りの白い可憐な花、10月頃から開き始めますので、来園の際は足元に注意してご覧になってください。

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9月28日(月) 菌類H2Oの北硫黄島調査1 上陸も必死?!
はじめまして。植物研究部の細矢です。

菌類・藻類研究グループの菌類と地衣類の担当者(細矢・保坂・大村で、頭文字をとって通称"H2O")は6月の後半、小笠原のさらに南にある北硫黄島で調査を行ないました。これは、首都大学東京と広島大学の合同調査に参加したものです。

硫黄島というと映画「硫黄島からの手紙」に出てくる島のことかと思う人もあると思いますが、でもそれは中硫黄島のことで、この他に北硫黄島と南硫黄島の3島から火山列島(硫黄列島)が構成されています。今回行った北硫黄島は中硫黄島の北70キロのところ、小笠原の中心地である父島からは南に約200キロのところです。

北硫黄島には明治時代に移植者が入りましたが、戦前の強制疎開以来、無人島となっているのです。島の上部には常に雲がかかり、山頂はしばしば霧に覆われている状態のようです。陸地が切れて出来たのではなく、海底火山が隆起してできた絶海の孤島で、しかも高温多湿、そんな場所にはどんな菌類がいるのでしょう。私たちは、ここでキャンプ生活を送りながら、どんな菌類(きのこ・カビ)、地衣類がいるか、調査しました。

この様子は来る12月20日のディスカバリー・トークでお届けしますが、それに先立ち、これから何回かに分けてダイジェストをお送りします。

さて、北硫黄島は無人島となってから長いため、船をつける桟橋もありません。しかも、島の周囲には砂浜がないため、船も接岸できません。

じゃ、どうするかって?

なんと、最後は、泳いで上陸です。波が強く、岩場に打ちつけられる可能性もあるため、ウェットスーツ・水中めがね・シュノーケルを装着し、流されないように最初にダイバーが海岸と海との間にロープを固定します。北硫黄島まで来るのに乗った漁船から至近までボートで行って、ダイブ!

ロープを伝って海岸に上陸した後は、隊員がロープに沿って一列にならび、食料・水・調査道具などをバケツリレーで運搬します。幸い、上陸時は波がほとんどない状態でしたので、大きな心配はありませんでした。

こうして私たちは、6月16日、無事上陸を果たしました。
 

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9月26日(土) 枝のスライス
育成管理の二階堂です。

 11月1日から23日にかけて「どんぐりミュージアム」を行います。その土日の体験イベントに、どんぐりやコナラの枝を使ったクラフトワーク「どんぐりで遊ぼう」を企画中です。

写真にあるのはその材料になるコナラの枝を切ったりスライスしたものです。どうでしょう、見ているだけでもう何かを作りたくなってきませんか?

近々、植物園ボランティアさん達と試作を行います。出来上がった作品は後日このブログ欄で紹介したいと思います。さて、どんなものができるでしょうか!

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9月25日(金) そうだ、京都に行こう
事務のIです。

なんとなく京都の雰囲気が漂っていませんか?
園内の「あずまや」の写真です。

この時季は毎年ヒガンバナがきれいに咲き、「あずまや」のたたずまいがなんとなく京都に行った気分にさせてくれます。
もう少し先になると紅葉がきれいで、益々京都気分が高まります。

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9月23日(水) コットンボールが弾けました!
続けて育成管理の二階堂です。

多様性区で栽培しているワタの実が弾けました。

一時、ワタノメイガの被害がありましたが、無事に立派な実が沢山つきました。まだ数個しか開いていませんが、フワフワのコットンボールがご覧になれます。写真中央やや右下には、開く前の緑の実が見えます。

このまま順調に収穫できれば、綿打ちや糸紡ぎの講座が開かれる予定です。まだ日時は未定ですので、興味のある方はHPのトピックスやイベント欄をたまにチェックしてください。

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9月22日(火) この可憐な花は何の花?
育成管理の二階堂です。

キツネノマゴ、ハキダメギク。普段私たちが雑草と呼ぶことの多い、園内各地で咲いている小さい花達・・・。オシャレな鉢にいれて可愛らしくデコレートしてみました!教育棟にある休憩テーブルに飾ってありますので、来園の際はひと目ご覧になってください。 

当面は実験になりますが、今後も定期的にこのような植物達を、趣向をこらして紹介していきたいと思います。

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9月20日(日) 巨大ナメクジ
はじめまして、動物研究部の長谷川です。

実は植物園の敷地の中には数名の動物の研究者も勤務しているのです。
しかも海の無脊椎動物(背骨のない動物)が専門です。
何をしているのかは、またいずれ機会がありましたら。

ところで、少し古い話になりますが、3年ほど前に植物園のあるつくば市の隣町、土浦市で、ヨーロッパ原産の巨大ナメクジ、
マダラコウラナメクジが定着・繁殖していることを偶然発見し、
1年ほど前の科博のメルマガで紹介させていただいたことがありました。

その時の記事は、画像とともに科博のサーバーにアーカイブ化されていて、「マダラコウラナメクジ」で検索することができます。
これをご覧になったお客さんから、似たようなナメクジを捕まえた、というご連絡をいただきました。

場所は何とつくば市。ご丁寧に植物園まで実物を届けていただきましたが、やっぱり間違いなくマダラコウラナメクジでした。

これまで、日本国内で本種が確認されているのは、土浦市の2ヶ所と、今回のつくば市のみです。同じ地域ですが、それぞれの地点は数キロずつ離れています。

どこから入ってきて、なぜこのような分布をしているのでしょう。
私は、ホームセンターで売られていた鉢植えか植木が怪しいと睨んでいます。

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9月19日(土) ハベナリア・メドゥーサ開花
登録室の谷です。

今日は『温室の見ごろ植物』の第2位‘ハベナリア・メドゥーサ’の取材風景です。
中央に見える男性がランの栽培担当者です。どんな記事になるのか楽しみです。

画面左に白いモコっとしたものが‘ハベナリア・メドゥーサ’です。
よく見たい方は植物園のトップページでお楽しみください。
この花、筑波実験植物園が日本初!!開花に成功させました。
日本中でここでしか見られません。
是非見に来てください。
お待ちしてます。

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9月17日(木) 減数分裂中
登録室のuです。

山地草原(低地性)に、フレッシュな緑色の広がる一角があります。
この緑色はクサソテツ。太陽のもと、のびのびと葉を茂らせていて、とても見ごたえがあります。
クサソテツはシダのひとつで、春の山菜「こごみ」がこの植物の若芽だと聞けば、「ああ、知ってる」という方も多いのではないでしょうか。

葉っぱは2つのタイプがあります。
大きく平べったい葉が栄養葉(写真左右)、小型でやや立体的なのが胞子葉(写真中央)です。

シダが専門の松本先生によると、胞子葉がちょうど出はじめて、減数分裂をしているところだそうです。
この時期に暑さ、寒さ、乾燥などの急激な環境変化が起こると、その影響でちゃんとした胞子ができなくなってしまう、だからとても大事な時なんだ、とのこと。
「がんばれ!」と声をかけたくなりました。

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9月16日(水) これは幹?いえ、違います。
育成管理の二階堂です。

写真中央を見てください。細長いなにかがあるのが分かるでしょうか。ニョロニョロしているものです。そう、ヘビです!!!荒れ放題になっていたモッコウバラを下からもぐって剪定していると、今まさに切らんとしている幹になにかが絡み付いていました。一瞬、幹?と思った途端、上へシューっと登っていったのです!!うわぁああーっ!そしてヘビと目があって、ぎゃあぁぁー!

こう言う時は奥山先生に連絡です。何と言うヘビか見てもらったところシマヘビとの答えでした。毒はないけど咬むそうです。そう言いながら、奥山先生は素手で楽しそうに捕らえにかかりました。ヘビは木から絶対離れんとばかりに抵抗し、タイムアップで奥山先生の負けでした。その後残された私は、逃げ腰状態で木を揺らしたり棒で突いたりし、ヘビにちょっとづつ移動してもらってなんとか剪定を終えました。

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9月15日(火) アルバイト永田の水草訪問D 〜植物専門の海人〜
こんにちは!
今回私は西表島にお邪魔させていただきました!

目的は『コアマモとウミジグサ、リュウキュウスガモ(波にゆらゆらしていてかわいい)を採集する』ことです。

観光の方たちが海水浴を満喫しているのを横目に、私たち男2人はウェットスーツにシュノーケル、さらに採集した植物を入れる網袋(洗濯ネットにひもをつけたもの)を肩からぶらさげ、
何をしにいくのか謎な格好で最小限の会話だけをし、ぶくぶくと海に沈んでいきます。

ダイビングでもないのにウェットスーツはおおげさかと思われるかもしれませんが、
4-5時間ずっと浮かび、あまり動かないので、この装備でないと意外と体温が奪われます。
そして背中だけは太陽にさらされているため、後々とんでもないオセロのコマのような体になり、痛みも伴います。

干潮が最大になると水深は10cmくらいになってしまい、顔だけ水につけてモゾモゾしている怪しい人に見えます。

そんなふうに夢中になって浮いていると足元あたりにT先生が来た様に感じ見て みると
2m超えしていると思われる(実際は1mくらい)でっかいウツボ(多分ハナビラウツボ)が私をみていました!
浅瀬だったので立ち上がり不安定な足場をぼじゃぼじゃっと走り逃げました。
じっと浮かんでたから岩だと思ったんじゃないの?とT先生はおっしゃりました。

そして、ウツボは岩付近にいてほしいと思いました。

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9月13日(日) 図書コーナー
事務のIです。

植物園にはお客様入り口の建物「教育棟」の中に図書コーナーがあります。
私のお気に入りは「野の草なまえノート」などのノートシリーズです。
イラストがきれいで細かく、一つ一つについて詳しく解説してあります。
これからの季節は「きのこ博士入門」もおすすめです。

詳しい図鑑や植物大辞典などを含め100冊ほど閲覧できますので、見学の前後にちょこっと閲覧、自由研究のために詳しく調べるなどぜひ、ご利用下さい。

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9月11日(金) 咲いたよー!
田中です。
野生絶滅種のコシガヤホシクサの野生復帰を目指して保全研究を行っていましたが、ついに現地で花が咲きました。先週末から水位が下がって、水面から花が顔をだしました。よくできたもので、花茎が伸びても花は開かず、水上に出たとたんに開花します。
まあとにかく、また一歩前進です。

植物園でも咲いているのがご覧になれます。遠目にみると地味ですが、よく見るととてもかわいいです。
一般の方が見られるのは世界でここだけなので、ぜひこの機会にご覧ください。

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9月11日(金) まぁるいお尻
育成管理の二階堂です。

写真中央を見てください。丸いお尻があるのが分かるでしょうか。林で作業している時に、ネズミらしき生き物を発見してそっと近づきました。すると彼は背を向けて縮こまり、ぴたっと動かなくなりました、それを撮った次第です。これは狸寝入りなのでしょうか。私には頭を抱えて悩んでいるようにも見えました。

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9月10日(木) 「今日の潮は12時36分だから」「了解です」
田中です。

海の生物を研究している者にとっては避けて通ることのできない「夏の大潮in西表」

到着後、レンタカー屋さんで記名していると店員さんに「ウミショウブやってる田中さんですよね」と問われ、離島の開放感から突如得も言われぬ閉塞感に突き落とされた海草採集記その1:干潮はやがて満潮になる編です。

植物採集のときに潮を意識する人はまずいませんが、海の植物を採集するときには本当に必死です。最も潮が引く大潮の干潮時間前後5時間くらいが勝負でその間は潜りっぱなし。単純に水深が小さく探しやすいことと、花が目的の今回は干潮時に咲く可能性が高いためです。このメカニズムはよくわかっていませんが、水中で受粉をするために水深が小さいと受粉の確率が高まることは確かでしょう。

調査1日目見つからず、2日目はお祈りをしたところ雄花だけ見つかりました。どこを探すべきか、どんな風に祈るべきかを慎重に考えて最終日に望みました。(つづく)

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9月8日(火) 共生生物「地衣類」
はじめまして.植物研究部の大村です.
共生生物「地衣類」の研究をしています.

地衣類って何?コケ?と思う方もいらっしゃるかもしれません.
実は,地衣類は菌類が藻類と共生して体を作っている複合生物なのです.

視界には入っているのに認識されることの少ない地味な地衣類ですが,存在が分かると色々な種類が身近な環境に生育していることに気がつくようになると思います.

今回紹介するのは「モジゴケ」です.
属名をGraphisと言います.その名の通り文字が書かれているように見えますが,その部分では菌類の胞子が作られています.灰白色部分の地衣体にはスミレモという藻類が共生しています.

これからも園内に見られる代表的な地衣類を紹介していきます!お楽しみに!

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9月7日(月) インドに行ってきました
堤です.

出張でインドに行ってきました.
写真は街路樹の幹の一部で.ハカマウラボシの仲間,シシランの仲間,ヒトツバの仲間がところ狭しとくっついています.熱帯ではこのように街路樹に着生植物がたくさんついている様子が見られます.
行先のアッサム州南西部は,外国人がほとんどおとずれない地域らしく,車を降りて街路樹を観察していると,いつのまにか数十人の村人にむらがられ、私たちが観察されていました・・・。

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9月6日(日) 雑草は材料です
育成管理の二階堂です。

写真右手前に見える緑の山は、園内で除草した草を集めたものです。それに水をたっぷり与えて2週間もすると、写真左奥に見える山のように黒くなります。

バックホーで切り返しを行っている最中のものですが、微生物の力で発酵し、中からは湯気がモウモウと出てきました。その後数ヶ月かけて堆肥となったものは園内のあちこちで利用されます。

これからは落葉が大量に出る季節です。今度は腐葉土作りが始まります。

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9月5日(土) こんなに大きく育ちました!
奥山です。

8月13日にご紹介した、アオスジアゲハの卵ですが、無事にここまで大きくなりました。
8月13日の時と見比べてみてください。もう終令幼虫ですので、近々蛹になるでしょう。

このアオスジアゲハ、卵が産みつけられていた外国産のCinnamomum parthenoxylon(シナモマム・パーテノキシロン)の葉っぱ100%で育てました。
これで、このチョウがこの植物を食べてきちんと育つことができるということが証明されましたね。

ささやかですが、新しい発見です。

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9月4日(金) 園内整備
こんにちは。事務の松本です。

今月も「園内整備」で、月の変わりを実感しています。秋ですね。
作業中に、カモフラージュ中のかえるに遭遇しました。
お見事!

園内は植物もたくさんありますが、動物も多いです。
草の間に、木の上に、その他思いがけない場所に潜んでいます!

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9月3日(木) むかしの植物園(クラシックカー)
事務のIです。

筑波実験植物園は昨年開園25周年を迎えましたが、
開園当初は連日多くのお客さまがご来園下さり、
特に土日は車が行列を作っていたそうです。
今みるとまるでクラシックカーのパレードのようです。

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9月2日(水) 園内百景その3【日本庭園】
こんにちは。事務の松本です。

皆様、窓口で入園受付をすませましたら、そのまま奥の方へおすすみください。
つきあたりの出口を開きますと、そこには日本庭園が!

ここは、「生命を支える多様性区」の一画、日本庭園の植物コーナーです。
赤い傘の下でお団子を食べたい・・・
と、通るたびに思います。

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9月1日(火) 多様性地形図、東山動植物園へ出張です
育成管理の二階堂です。

写真にあるのは、日本列島で絶滅の危機に瀕した植物の分布密度を山の高さで表現した多様性地形図です。名古屋の東山動植物園で9月に絶滅危惧植物の展示があり、出張することになりました。
今日の私の仕事は大工仕事です。地形図のサイズは縦横150cm、高さ40cm、重さ約50kg程度でしょうか、それを運搬の際に保護する木箱の作成です。12mmのコンパネ6枚、4mのタル木を8本使いました。満足のいくかなり強固なものが出来たのですが、それ自体が約70kgになってしまいました。中身よりも重い・・・。

地形図はまた当園に帰ってきます。その際はぜひとも一度ご覧になって下さい。

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