ヒスイカズラ(ジェイド・バイン)

植物図鑑

図鑑の見方

植物名

ヒスイカズラ(ジェイド・バイン) 

学 名

Strongylodon macrobotrys A.Gray 

科 名

マメ Fabaceae/Leguminosae 

園内の花

解 説

フィリピン諸島のごく限られた熱帯雨林にしか自生しないつる性植物。自生地では、熱帯雨林の減少とともに絶滅が危惧されている。熱帯降雨林温室では本種の人工受粉を行っており、それによって実った莢は受粉後4か月で熟し、重さは約1.5kgにもなる。 

研究者ノート

●まさしくひすい色のヒスイカズラの花に含まれる色素はマルビンという赤紫のアントシアニン色素です。この花にはさらにサポナリンという無色のフラボノイド成分が含まれており、両者が共存するとコピグメント効果という現象が生じ、紫色になります(がく筒や花柄の色)。この紫色がひすいのような花の色に変わるのは、色素が含まれている細胞のpHがアルカリ性であるためです。アントシアニンという色素は酸性で赤、アルカリ性で緑色に近い色になる性質があります。しかし、本来アルカリ性だとすぐに分解してしまいます。これが安定してひすい色のままなのもコピグメント効果のためです。この色はコウモリが好きで、長い年月をかけて獲得された、花粉媒介者としてのコウモリを誘引するための植物の知恵です。(岩科司)

●世界中に大きさや形など、奇抜な花は数多くありますが、こと色という点でこのヒスイカズラの奇抜さと美しさにかなうものはそう多くはないでしょう。花の色には赤、青、黄、白と何でもそろっているように思われがちですが、実際にはこのヒスイカズラのヒスイ色のように、ほとんど他の花に見られないものもあります。
花の色の多様性は、花粉を運んでくれる様々な動物(昆虫、鳥、コウモリなど)の目に止まるようにそれぞれの植物が進化させたものです。ですから花の色が変わっているのは、その変わった生態を反映しているからだと考えられます。
ヒスイカズラは、コウモリが花粉を運ぶとも、鳥が花粉を運ぶとも言われていますが、残念なことに原産地のフィリピンで絶滅に瀕していることもあり、自生地で花粉を運ぶ動物が何であるかはよく分かっていないようです。(奥山雄大) 

自然分布

フィリピン(ルソン島) 

絶滅危惧ランク

 

日本固有

筑波山分布

園内区画

熱帯低地雨林室 

「おすすめ」
登場回数

23

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花
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撮影場所
熱帯山地雨林室
撮影日
2014.5.28
撮影者
佐藤絹枝