植物園が目指すもの「多様性を知る」

多様性を知る

知る

当園では、絶滅危惧植物を中心とした植物の収集・保全を行っており、それらを材料として、基本的に生きた植物を研究しなければわからないような、適応形態、遺伝子、染色体、二次代謝産物などを解析し、植物の多様化や他の生物との関わり合いの研究を行っています。

植物多様性を織りなすひとつひとつの種を知ることが、植物多様性を知る基本です。それぞれの種は与えられた環境に適応して生き抜くため、ありとあらゆる工夫をし、さらに、他の生物と助けあったり、競争したり、食う食われるといった関係を生み出しました。こうした植物それぞれの個性が、多様性を形作ります。多様性を知ることができて、初めて多様性を守り、伝えることができることは言うまでもありません。そして、多様性を知ることが、生物とふれあう楽しさのおおもとであることも忘れてはいけません。

種を知るためには、まず野外で観察し、どんな環境でどんな生物と関わって暮らしているかを理解することが必要です。そして標本や生きたサンプルを持ち帰って、植物園で詳しく研究します。これまでに集めた標本と比べることで、形の特徴がはっきりします。生きた植物を栽培することによって、植物の一生のふるまいを正確に知ることができます。さらに生きた植物の体内で作られる物質や遺伝子を取り出し、進化の道のりや環境への適応を解明するのです。

このようにして、ひとつひとつの種、場合によっては個体ごとの個性を明らかにします。地球に50万種はあると予想される植物を調べるのは、気の遠くなるような仕事ですが、筑波実験植物園は世界の専門家と協力して、多様性を知ることに努めています。

当園の研究の詳細につきましては「研究―研究活動」のページをご覧ください。