筑波実験植物園

ハエの仲間が花粉を運ぶ妖しい花たち「カンアオイとテンナンショウ」筑波実験植物園

 

 

 

 

 

 ハエの仲間が花粉を運ぶ花には、風変わりなものが多く目立ちます。今回開花したカンアオイやテンナンショウの仲間はいずれも、ハエをだまして花粉を運ばせると考えられています。これらの花は、キノコなどに姿や匂いで擬態しており、かわいそうなハエのメスは自分の子供が食べる餌と勘違いして卵を産みにやってくるのです。しかしそこには幼虫の餌となるものは何もなく、ひどい時にはハエは花の中に閉じ込められて息絶えてしまいます。このような花たちを研究することで、昆虫を操る仕組みの解明も期待できます。

 
〔希少!見ごろは3月中旬頃までです〕
 

 

 

 

【カンアオイの仲間】

教育棟にあります

ハツシマカンアオイ

【テンナンショウの仲間】

※展示は終了しました

アリセマ・インクルスム

ハツシマカンアオイ
Asarum hatsushimae
ウマノスズクサ科
琉球列島、徳之島の固有種で、2つの産地しか知られていない希少な種です。萼筒、花茎が長くなること、花が横向きとなることが種の特徴です。和名、学名は琉球列島の植物を研究した初島住彦氏にちなみます。環境省により、絶滅危惧IB類に指定されています。

アリセマ・リヘンガヌム
Arisaema lihenganum
サトイモ科
中国雲南省南部に自生するテンナンショウ属の1種で、2003年に発表された新種。付属体の先端が細かく裂けてとても目立ちます。空気のかすかな動きにゆらめき、花粉を運んでもらう昆虫を誘っています。

 

シラユキカンアオイ(タニムラアオイ) アリセマ・リヘンガヌム

シラユキカンアオイ(タニムラアオイ)
Asarum leucosepalum
ウマノスズクサ科
琉球列島、徳之島の固有種で、1994年に新種として記載されました。林床の石灰岩土壌に生育します。萼裂片が白くなることが種の特徴です。和名の「白雪寒葵」は白い花に由来します。

アリセマ・インクルスム
Arisaema inclusum
サトイモ科
インドネシアのスマトラ島、ジャワ島、フロレス島に分布するテンナンショウ属の1種。標高1500mくらいの熱帯山地林の林床に自生する希少種です。日本では当園でしか咲いた例がありません。

 

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