生物多様性とは何か?
生物多様性とは何か
地球上の「生命の豊かさ」を表しています。地球上における30数億年の生物の進化の歴史を通じて生まれてきた、今もなお全貌を知ることのできない膨大な数の生物種、個々の種が持つ遺伝子、様々な種が様々な環境のもとに作り上げる生態系を包含した、地球を地球たらしめる唯一無二の財産です。
生物多様性円グラフ
現在地球上には、知られているだけでも約210万種の生物が生息・生育しており、ヒトもその1種です。私たちが知らない生物はそれよりはるかに多く、10倍から100倍の種が存在するといわれています。それぞれの種は、かたちや性質ばかりか生育環境もさまざまです。生物多様性は、生命が誕生してから40億年もの長い間、絶滅が起こりながらも新しい種をつくりつづけた結果なのです。
参考文献:
IUCN RedList 2021
Species 2000 & ITIS Catalogue of Life, 2019 Annual Checklist.
イラスト制作:羽冨亜紀、福本陽子
生物多様性に関する当館の研究
生物界における植物の役割
植物は無機物から有機物をつくる生物であり、人類を含むすべての生物の生存にとって不可欠です。また植物は光合成により、大気より二酸化炭素を吸収し酸素を放出します。これにより、生物の呼吸を支え、大気の組成を維持し、気温上昇(温暖化)を抑える重要な役割を担っています。
生き物同士がつながる食物網

光合成のしくみ

何故生物多様性が重要か
生物多様性は人為的影響により急速に失われつつあり、現在起こっている絶滅の状況は、かつての大量絶滅に匹敵すると言われています。日本の野生植物でも4分の1(7,000種類のうちの1,700種類)が絶滅の危機に瀕しています。その原因を追求するとともに、絶滅危惧植物を植物園で保全し、展示しています。
絶滅危惧植物シンボルマーク

植物園が研究・保全している絶滅危惧植物
タイワンシシンラン(イワタバコ科)
コシガヤホシクサ(ホシクサ科)
シビイタチシダ(オシダ科)
リュウキュウアセビ(ツツジ科)
クモイジガバチ(ラン科)
キイロジョウロウホトトギス
(ユリ科)
ガシャモク(ヒルムシロ科)植物の重要性
植物は、食物網を通じてだけでなく共生・寄生などさまざまな生態的関係によって他の生物とつながっています。ある植物が絶滅すれば、関連する他の生物が次々と影響を受けます。「蟻の穴から堤も崩れる」ように、1種の植物の絶滅といえども、多くの生物の生存が脅かされかねません。植物は、自然環境の重要な要素であるだけでなく、生物資源です。私たちはこれまで、全植物の10%以上の種や、数多くの品種を生活の隅々で利用してきました。現在利用していなくても、どんな植物でも将来何らかの形で利用できる可能性があります。次世代の人々が豊かに生活するために、生物多様性を保全することが必要です。
私たちが利用する植物とその目的
| 食糧 | 薬用 | 鑑賞 | 造形 |
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その他,エネルギーなど様々な目的に利用している。
参考文献 世界有用植物事典
園内で見られる有用植物の例
カカオ
(チョコレートやココア)
パナマソウ
(帽子や衣料)
コショウ(香辛料)
コーヒー(飲料)
クリ(食用)
チャノキ(飲料)
チャノキ(飲料)写真提供 佐藤絹枝氏